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なぜAIは相場に勝てないのか

誰もが夢見るAI投資システムを実際に作り、それを使って「素のインデックスに勝てない」ことを徹底検証・全開示で証明した。その全記録。

2026年6月 · 約8分

誰もが訊く問い

AIは株式市場に勝てるのか? あらゆる「AIトレードボット」の売り文句と、あらゆるヘッジファンドの見出しの裏にある問いだ。十分なデータ、十分に速いモデル、十分に賢いマルチエージェントの議論があれば、人間に見つけられないエッジを機械なら見つけられるはず — そう思いたくなる。

私たちは議論したくなかった。きちんと、公開で検証し、自分に都合が良かろうと悪かろうと答えを出したかった。だからシステムを作り、survivorship-free の10年分のデータに向け、エビデンスに判断させた。

数十の実験を経た答えは明確だ — 勝てない。公開データでは、個人のコストでは、そして普通の投資家が既に持てる指数に対しては。これはそれをどう知ったかの記録だ。

推測でなく検証した

ベンチマークは日本の個人投資家に本当に効くもの — NISA内で非課税で持つ、素の時価加重インデックスだ。これを超えるには高いバーを越えねばならない。アウトオブサンプル(過去への曲線当てはめなし)、現実的なコストと税の控除後、そして良く見える窓だけでなく平穏な年も上昇の年も含めた両期間で。

全戦略が同じハーネスを凍結状態で通り、バックテストとペーパー取引で同じルールを使った。さらに有料の市場データを丸ごと購入した — survivorship-free・10年・上場廃止銘柄やプロが見る注文フロー込み — 「正しいデータが無かっただけ」という言い訳を封じるために。

そして全てを公開した。各検証は合否・判定不能を含めてライブのダッシュボードに載り、手法はオープンソース。失敗したものも一切隠していない。

スコアボード:15以上の戦略、勝者ゼロ

割安。品質。モメンタム。決算後ドリフト。信用残からの需給。自社株買い。セクターティルト。流動性イベント。マルチファクター。レバレッジ。トレンドオーバーレイ。一つずつ指数と突き合わせ — 一つずつ、コスト後・前後両期間で負けた。

失敗には共通パターンがあった。あるスクリーンは通期では見事に見えるのに、2023年前はフラットか負け・後だけ大勝に割れる — つまり「エッジ」は再現性でなく直近ラリーにすぎない。もう一つ:本当の変化(増担保、自社株買い、利益の転換)が決算で見える頃には、価格は既に動いている。追えば天井を買う。

生き残ったのは2つだけ、しかもどちらもリターン上乗せでなくリスク管理 — 暴落のドローダウンをほぼゼロコストで削るトレンド則と、株式+ゴールドのトレンド分散。どちらも指数にリターンで勝たず、NISA枠の制約下では成立すらしない。正直な集計:15以上検証、リターンで指数に勝ったもの0。

皆が見ているデータでさえ

有名な需給にはシグナルがあるのでは? 日本で最も注目される2つを検証した。外国人のネット買いは同じ週の値動きと +0.40 相関する — だが翌週とは約0.00。同時的で非予測、しかも公表は6日遅れ。これでタイミングすると、ただ持つより負ける。

業種別空売り比率は14.8万観測で逆張りの反発を示さず — 高空売り業種はむしろ僅かに劣後した。信用規制フラグは唯一安定したシグナルだった:約+35%急騰して規制入りした銘柄は、その後四半期で市場対比 約−4%を吐き出す。だがまさに空売りできない銘柄で、信号は負 — つまり取引できるエッジでなく「追うな」という回避則だ。

プロ用データを丸ごと買っても何も変わらなかった。結論は保たれた。

なぜ公開情報はエッジになり得ないのか

これはAIへの断罪ではない。市場の仕組みの実証だ。価格はその場で最も情報を持ち最も速い参加者が決める。事実が公開されていれば — 開示書類、誰でも買えるデータ、本に載った戦略 — あなたが動く頃には既に価格に入っている。

エッジとは定義上、希少で私的で減衰するものだ。広く知られた瞬間に裁定で消える。私たちは公開データを個人の道具で探していた — durable なものが無いことが最初から保証されていた。AIはこれを変えない。むしろ公開情報の処理を全員に対して安くし、束の間のエッジをより速く競い消す。

では実際に勝っているのは誰か

勝者に見える人の大半は市場に勝っていない — 良い10年に持っていただけ、加えて生存者バイアス(勝者の話は聞こえ、静かに負けた9割は聞こえない)。指数自体の長期リターンが、辛抱強く持つ者を裕福にする。それは勝ちだが、「市場に勝つ」ではない。

本物で持続するエッジは、個人に届かない場所から来る:速度(マイクロ秒のHFTマーケットメイク)、規模とアクセス(私的なディール、配分、危機時の条件)、合法な私的情報(大量購入し処理する alt-data)、違法な私的情報(インサイダー取引 — 「天才」の実績の少なからずが実はこれだった)。どれも「より良い分析」ではなく、どれもあなたには手に入らない。

あなたに手が届く唯一のエッジは、市場に対するものではない — 自分自身の行動に対するエッジだ。

実際に効くこと(そして地味だ)

予測が指数に勝てない以上、残るのは自分が完全に制御できるレバーで、データはそのどれも裏付ける。拠出は前倒しに:年の枠を早く投入する方が、ローリング年の67%でドルコスト平均に勝ち、押し目待ちは負けた。狼狽売りしない:−20〜30%下落後でも、その後12ヶ月は平均約+8%、3回に2回はプラス — 売れば含み損が恒久損に変わる。コスト・回転・税を最小化する:それこそ、検証した全アクティブ戦略を負かした構造的な敵だった。

華やかさはない。だがここで確実に資産を築く唯一のもので、アクティブ参加者の大半はこれに負ける。AIがあなたのお金に対して実際にできる仕事は予測ではない — 規律を保たせることだ。地味な正解を自動化し、興奮を呼ぶ間違いを面倒にする。

自分で確かめて

鵜呑みにしないで。全ての検証・判定、そしてライブのペーパー取引エージェントはダッシュボードにあり、ハーネス全体がオープンソースなので結論を再現できる。それが要点だ — 出せもしないリターンを約束する機械より、悪い戦略を正直に却下する機械の方が役に立つ。

研究・ペーパー検証のみ。アウトオブサンプル・コスト後、将来は異なり得ます。投資助言ではありません。